「集約型都市構造の実現に向けた歩行空間整備について」
対象:TOS事業検討部会・部会員都市(23都市) 平成26年12月、平成27年11月アンケート実施

(1)民間活力も含めた歩行空間整備事例

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対 象 事 業 名

都市名

札幌駅前地下歩行空間整備事業

札幌市

定禅寺通シンボルロード整備事業

仙台市

都市計画道路 南浦和前地線

さいたま市

ライジングボラード(自動昇降式車止め)による歩行者優先道路空間の創出

新潟市

優良建築物等整備事業(市街地環境形成タイプ)

静岡市

「人と公共交通優先の歩いて楽しい四条通」整備事業

京都市

阪神三宮駅西改札口周辺地下空間整備事業

神戸市

都市再生整備計画事業(地域生活基盤施設:ラポール明石内公共通路整備)

明石市

四季通り(立体都市計画

宮崎市

札幌駅前地下歩行空間整備事業【札幌市】
【事業内容】

  札幌駅前通公共地下歩道は、地下鉄さっぽろ駅と大通駅をつなぐ延長 約520m、幅員20mの歩行者専用道路として平成15年に都市計画決定 されており、整備目的の一つに、沿道ビルとの地下接続や多様な活用を 行うことにより人々が憩い楽しめる空間を創出し、都心全体の魅力と活力 の向上を図ることがある。
 現在10棟の沿道ビルと地下接続しているが、その接続空間は承認工事(道路法24条)によりビル事業者が整備し、札幌市が道路・広場として管理 している。そのうち4棟のビルは建替えを同時に行い広い間口で接続することによりビル地下階と連動した賑わいを創出している。
 また、14カ所ある地下歩道の出入口のうち4カ所については、地下歩道 整備と同時に進められたビルの建替えに合せてビル事業者が民地内に取り込んでおり、良好な道路景観の形成や歩行環境の向上を図っている。  

【事業効果】

 ビル事業者が地下接続空間を整備することで地上地下の回遊性を高めることができ、さらにビル地下階と連動した賑わいが創出された。

【歩行空間活用のための周知方法】

 地下広場の指定管理業務の受託者(大通まちづくり株式会社)が広場の運営管理を行っている。

定禅寺通シンボルロード整備事業【仙台市】
【事業内容】

 定禅寺通は宮城県庁や仙台市役所が近接する仙台市の中心部に位置し、青葉通、広瀬通とともに中心市街地を東西に貫く3本の広幅員都市計画道路のひとつである。道路整備については戦災復興事業において、道路の中央に藩政時代から続いた幅員12mの道路を緑地帯として残し、その両側に植樹し 通り全体に166本のケヤキを植えており、通り全体が緑のトンネルのイメージ である。
 定禅寺通では、杜の都のシンボルであるケヤキ並木を活かし、「緑の回廊づくり」 をテーマに緑に包まれた道路と沿道の一体的な整備をするため、建築物や屋外広告物の規制誘導を図りながら、賑わいの創出や景観に配慮したまちづくりを展開してきたところである。
 道路空間においても通りに面する街並みとの調和を図るとともに、ゾーン毎のテーマに沿った演出や個性的なスポットを配置し、ゆとりと潤いのある快適な歩行環境の整備を行っている。  また、本整備を契機として、新たな定禅寺通の利活用策を検討するべく、中期的な 社会実験として、市民マネジメント組織によるオープンカフェを実施している。
 平成27年9月には本市が国家戦略特区に指定されており、エリアマネジメントの一環として、道路など公共空間の有効活用に向けた取組みを検討している。

【事業効果】

 東北を代表する祭りである仙台七夕祭りをはじめ、定禅寺通ストリートジャズ フェスティバル、光のページェント、仙台青葉祭りといった四季を彩るイベント ステージとして市民や観光客に親しまれている。

都市計画道路 南浦和前地線【さいたま市】
【事業内容】

 都市計画道路南浦和前地線はJR東北本線と並行してJR浦和駅東口付近とJR南浦和駅東口付近の市街地を南北に結ぶ幹線道路であり、計画幅員11m、 計画延長約2kmで昭和38年に都市計画決定されている。
 平成22年度、当該都市計画道路の未整備区間約200mを含む区域における民間の大規模マンション開発計画を契機に、開発指導により当該計画道路線形に合わせた形で幅員6mの開発道路を新設、さらに、開発事業者と道路管理者との協議により、両側2.5mの自主管理歩道が開発事業者によって整備され、 民間活力導入による歩行空間整備が実現した。

【事業効果】

 民間活力を導入することにより、費用負担なく歩行空間を整備することが出来た。

ライジングボラード(自動昇降式車止め)による歩行者優先道路空間の創出【新潟市】
【事業内容】

 新潟市では「歩くこと」の重要性に着目し、健康づくりとまちづくりが連携し、誰もが健やかで幸せに暮らせるスマートウエルネスシティ(健幸都市づくり)に取り組んでいる。
 ふるまちモール6は、本市の中心市街地の古町地区において最も歩行者交通量がある通りで、正午から翌朝8時まで歩行者用道路となっているが、違反通行車両が多く地元商店街の悩みとなっていた。
 このふるまちモール6において、スマートウエルネスシティの取り組みの1つとして、公道日本初となるライジングボラード(自動昇降式車止め)を設置し、自動車の通行を物理的に制限することにより、歩行者が安心・安全に歩ける道路空間を創出し、これまで以上にまちの賑わい創出や魅力向上を図っている。

【事業効果】

 違反通行車両が減少(実験前119台/週⇒実験中2台/週)

【歩行空間活用のための周知方法】

 ライジングボラード設置・運用にかかるチラシの作成

優良建築物等整備事業(市街地環境形成タイプ)【静岡市】
【事業内容】

 本市において、優良建築物等整備事業(市街地環境形成タイプ)を2地区行っており、各地区の事業内容について下記に記載する。
 @呉服町二丁目1−5地区(5風来館(ごふくかん)) 当地区は、繁華街に位置するが、家電量販店が撤退後更地となっていた。公共通路を整備すると共に、空地の確保により都市計画施設の整備促進に寄与するものである。
 A鷹匠1−14地区(新静岡セノバ) 当地区は、商業施設と私鉄の始発終着駅及び民営バスのバスターミナル機能を有する複合施設で、市内中心部の重要な交通結節点である。 老朽化した施設の建替と公共交通ターミナルとの一体的な再開発による新しい魅力づくりと共に、建物1階中央部に通り抜け通路を整備する ことで鉄道・バスの相互乗継等に対応するバリアフリー化を推進した。また、「交通事業者と地方公共団体が連携した全国の地方都市の模範と なる一体的なバリアフリー化の取組み」と評価され、平成25年1月18日に『第6回国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰』を受賞した。

【事業効果】

 安全で快適な歩行者空間と賑わいの場の創出をすることで、中心市街地の活性化及び歩行者回遊性の向上を図る。

「人と公共交通優先の歩いて楽しい四条通」整備事業【京都市】
【事業内容】

 京都市では、京都の活力と魅力が凝縮された「歴史的都心地区」(四条通,河原町通,御池通及び烏丸通に囲まれた地区)を中心とした「まちなか」において、四条通の歩道拡幅及び公共交通優先化をはじめとする、安心・安全で快適な歩行空間の確保や賑わいの創出など、人と公共交通優先の「歩いて楽しいまちづくり」を推進している。その一環として四条通(烏丸通から川端通までの区間)を誰もが快適に歩くことができるように歩道を拡幅し、公共交通が優先して走れる道路にするための整備を行っている。

【事業効果】

 安心安全な歩行空間の確保やバス待ち環境の改善、また、それらに伴うまちなか全体の賑わいの創出

阪神三宮駅西改札口周辺地下空間整備事業【神戸市】
【事業内容】

 阪神三宮駅西改札口周辺の地下空間は、阪神電鉄、市営地下鉄や、さんちか(地下街)、そごう、OPAなどの商業施設と接続している公共的空間であり、市民のみならず大変多くの人々に利用されている。 しかし、大規模な補修・改築がされず老朽化が進んでおり、近年、漏水や モルタル片の落下などもあったため、早急に本格的な補修・改修を行う必要があった。 そこで、都市鉄道利便増進法に基づく三宮駅周辺の交通結節機能の 高度化を図る目的で結成された阪神三宮駅交通結節機能高度化協議会(平成17年度)が事業主体となり、「壁面・柱・天井の改善、防災・防火 設備の新設・更新、照明・排水施設の新設・更新、案内サインの新設・更新、 ユニバーサルデザイン化」の整備を行った。(補助率:国1/3)

【事業効果】

 協議会方式により財政負担の軽減を図り、安全・快適で美しく魅力的で 歩きやすい公共的空間の創出できた。

都市再生整備計画事業(地域生活基盤施設:ラポール明石内公共通路整備)【明石市】
【事業内容】

 本事業は、明石駅前南地区第一種市街地再開発事業に隣接する部分となる民間建物内(ラポール明石)の公共通路整備である。  再開発事業では、建物の共同化にあわせて駅前広場に駅と再開発ビルをつなぎ、 県道を横断する歩行者デッキを整備する。
 デッキによる県道横断後の先には、平成13年に開業した再開発ビル(アスピア明石)が存在し、駅周辺の歩行者の回遊性を促進させるには、再開発エリア外においても連続した歩行者空間を創出することが必要であり、隣接する民間用地では、建物の更新が予定されていたこともあり、建替えにあわせて、歩行者デッキとつながる部分のビルの2階空間において公共通路を整備した。
 整備にあたっては、通路部分の区分地上権の設定対価や残地補償、通路やエレベー ターの整備費負担を土地建物所有者へ市が行い、通路空間は無償使用とすることで、 再開発事業完成後は市の道路空間として供用を開始する予定である。

【事業効果】

 民間の協力を得ることにより、費用負担を抑えて歩行空間を整備することが出来た。 また、歩行空間の創出と建物価値の増加といった官民それぞれのメリットを生かせることができた。

四季通り(立体都市計画)【宮崎市】
【事業内容】

 本地区は、宮崎市の中心市街地の商業集積地に位置し、平成16年に都市計画決定しました。
 規模は、高さ5.5m、幅5.8m、長さ約51mです。
 百貨店の増床計画に伴い、本館と新館の間に位置する市道を付替え、 廃道し、建築敷地化されましたが、廃道した部分は通路として、長さ約51mの立体的な範囲を都市計画に定め、歩行者通行を永続的に確保しました。
 廃道した道路機能については、道路の付け替えにより、従前の通行機能を確保しております。

【事業効果】

 民間活力を導入することにより、費用負担なく歩行空間を整備する ことが出来、都市計画決定することで、永続的な歩行者空間としての 活用が確保出来る。

(2)オープン空間の確保や賑わい創出事例

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札幌市北3条広場の整備【札幌市】
【事業内容】

●供用開始:平成26年7月19日
●施設概要:(位置)札幌市中央区北2条西4丁目及び北3条西4丁目、 (延長)約100m、(標準幅員)約27m、(面積)約2,800u
●設置目的:札幌の魅力・活力の向上と、豊かな市民生活の実現。
●運営管理:多様な活用(イベントの実施、オープンカフェの設置など)を可能とするため、 広場条例を制定。また、指定管理者制度、利用料金制度を導入している。指定管理者は、 札幌駅前通まちづくり梶B
●空間特性:札幌の歴史的観光資源である北海道庁赤れんが庁舎前に位置し、大正時 代のイチョウ並木や木塊レンガが現存しており、札幌を象徴する景観と歴史的価値を有 する空間となっている。
●整備手法:隣接ビルの建設を行った三井不動産葛yび日本郵便鰍ェビル建設を機会 とした公共貢献の一環として整備。

【事業効果】

・札幌市の2大商業圏であるJR札幌駅と大通を結ぶ回遊拠点の実現
・さまざまな活動や気軽に憩うことができる空間の創出
・広場周辺の人の流れの変化、新たなにぎわいの創出
【歩行空間歩行空間活用のための周知方法】

 札幌市のHP及びパンフレット、指定管理者HP等で周知

青葉通再整備事業【仙台市】
【事業内容】

 定禅寺通と並びケヤキの並木道として全国に知られる青葉通は、昭和21年の戦災復興事業により、仙台駅から仙台城址までを繋ぐ大通りとして、戦災で焼失した城下町の屋敷跡に造られた道路である。地下鉄東西線建設を契機に、都市と緑が融合する空間として、これまで 以上に魅力的な景観を形成し、「杜の都」のシンボルとして次世代に 引き継いでいくために再整備を行っている。
 道路空間の再構成にあたっては、将来像として定めた「気持ちよく 歩ける通り」、「車の流れが円滑で便利な乗り継ぎができる道路」の実現のため、道路空間再構成の基本方針と歩道設計方針を下記のとおり定めた。
・一部区間の車線を削減することで歩道を拡幅する
・主要な交差点にはこれまでどおり右折車線を設ける
・バス停車帯,タクシー乗り場及び荷捌きスペースを必要な箇所に確保する
・ケヤキの生育環境に配慮する
・道路空間再構成において、新たなケヤキの撤去及び移植は行わない
 現在、第一期の整備工事(東二番丁通り西側1,000m)に取り組んでおり、その後、第二期工事(東二番丁通り東側560m)に取り組む予定としている。
 また、平成27年9月には本市が国家戦略特区に指定されており、エリアマネジメントの一環として、道路など公共空間の有効活用に向けた取組みを 検討している。 

【整備効果】

公共空間等を活用したにぎわいづくり
・公開空地でのオープンカフェ等の実施(青葉通カフェ)

さいたまカーフリーデー【さいたま市】
【事業内容】

 「さいたま市総合都市交通体系マスタープラン基本計画」に基づき、自動車に過度に依存しない交通体系の実現に向けた取組みの一環として、マイカーから公共交通や自転車、徒歩等への利用転換を促すことを目的に、「車の使い方」を市民と行政が一緒に考えるための周知啓発と、快適で賑わいのある歩行空間を創出するため実施する啓発イベント。
 特に、道路空間については、2日間にわたり交通規制を実施し、地元商店を中心とする出店者の協力のもとオープンカフェを開催することで、普段は車両の通行している道路空間を快適に過ごすことができる空間とし、賑わいの創出を図っている。

【事業効果】

 イベントの認知度及び集客性が高く、周知啓発に一定の効果があると思われる。
※認知度 H20:40% → H27:66.9%
※来場者 約20,000人(H27)
※平成24年度に実施した調査の結果、イベント開催に伴う交通規制時には、周辺道路における歩行者通行量が通常の休日と比較し増加することが確認できている。このことから、周辺道路における快適な歩行空間整備の推進によって、交流人口の増加、周辺店舗における経済活動の活性化等のストック効果が発現 する可能性が考えられる。

【歩行空間活用のための周知方法】

 自治会掲示板、関係団体、周辺大型施設・小学校等でのポスター掲示及びチラシ配布、市報・市HPへの掲載、facebookページの開設、区役所でのパネル展示、関係団体機関誌・HP等への掲載、新聞・テレビでのPR。

都市再生整備計画事業(社会資本整備総合交付金)【さいたま市】
【事業内容】

 JR埼京線とJR武蔵野線の鉄道結節点である武蔵浦和駅周辺 地区は、さいたま市の副都心に位置付けられ、市街地再開発事業 により、商業・業務機能を低層階に配した再開発ビルとともに周辺の公共施設整備を行っている。
 UR都市機構が施行者である第1街区においては、再開発事業により整備された駅前広場、公共公益施設、住宅・店舗等を結ぶ歩行者デッキを整備するとともに、各施設を結ぶブリッジによって、デッキと施設内に整備された緑地等のオープンスペースを連携させ、回遊性やにぎわいを創出する計画となっている。

【事業効果】

 歩行者デッキと敷地内緑地を接続することにより、有効なオープン空間を確保し、一般歩行者に常時開放することによって、回遊性やにぎわいの創出を図る。歩行者デッキに屋根や風防ガラスを設置することにより、歩行者の安全性や利便性の向上を図る。

パラソルギャラリー【千葉市】
【事業内容】

 千葉駅前大通り(中央公園プロムナード)の歩道上に白いパラソルを設置し、パラソルの下の空間を「アートスペース」として、絵画、手工芸、陶芸等の手づくり作品の展示や音楽演奏等のパフォーマンス空間として 活用する、市民アーティストによる屋外ギャラリー。
 都市景観に対する市民意識を高め、景観形成への参加を促進することを 目的として開催。  
※本イベントは、平成12年度より「都市景観市民フェスタ」の催しの一つ として千葉市が主催していたが、平成23年度より市民が主体となり開催が 継続されている。

【事業効果】

 開催中(10時〜20時)の来場者数:約13,000人(平成27年度)                 常時:約 8,000人

【歩行空間活用のための周知方法】

 HPや市の広報誌(市政だより)、市関連施設におけるポスター掲出等にてPR。

戸塚駅前地区中央土地区画整理事業【横浜市】
【事業内容】

 駅周辺の拠点整備による魅力あるまちづくりとして、JR線に分断されている戸塚駅東西地区の一体化を図るため、鉄道と立体交差(アンダーパス)する 都市計画道路柏尾戸塚線を整備するとともに、周辺のまちづくりを行っています。
 旧東海道(国道1号)の整備にあたっては、平成19年度に地元活動団体や有識者等による検討委員会で、みちづくりの基本方針やデザインのイメージについて「旧東海道みちづくり計画」が策定されました。その中で提案された、旧東海道の歴史が感じられるみちづくり、歩行者にやさしいみちづくり等を目指し、 各広場等の活用方法やデザインを地元の方を含めて具体的に検討してきました。
 昨年度までに駅の東西を結ぶ「戸塚大踏切デッキ」と地域の憩いの場である「一休さん」を供用開始しました。今年度は「戸塚大踏切ひろば」と「ふたかけ広場」を工事し、土地区画整理事業による整備が完成します。

【事業効果】

 歩行者デッキや道路の整備により、イベントの開催等まちの活動が生まれる有効なオープン空間を確保したことで、まちの回遊性やにぎわいの創出を図ります。

県道町田厚木横断デッキ整備事業【相模原市】
【事業内容】

 小田急電鉄の小田急相模原駅北口周辺は、(都)町田厚木線と(都)相模原二ツ塚線が交差する交通結節点となっており、自動車、歩行者の交通量が多い状況である。
 また、(都)町田厚木線など基盤施設整備の遅れによる慢性的な交通渋滞、歩行者空間の安全性不足、駅周辺の回遊性の不足、(都)町田厚木線による 地区の分断などが課題となっていた。
 これらの課題を解決するため、(都)町田厚木線を挟んだ二つの地区での再開発事業により、再開発ビルとともに周辺の公共施設及び二つの再開発 地域を結ぶ歩行者デッキの整備を行った。

【事業効果】

 歩行者デッキと建築物を接続することで、(都)町田厚木線を挟んだ両地域の回遊性や歩行空間の安全性を確保した。また、一般歩行者に常時開放することで 賑わいの創出を図った。

早川堀通り水と緑のみちづくり推進事業【新潟市】
【事業内容】

 かつては北前船が往来し、湊町として栄えた新潟市中央区下町地区。 車社会の到来とともに、市内に縦横に張り巡らされていた堀は昭和39年に全て埋められた。その後、堀と柳の景観の復活を望む声が高まり、その中で浮上してきた候補地の一つが早川堀であった。平成18年6月に地元住民による勉強会「早川堀通り周辺まちづくりを考える会(以下、考える会)」が組織され、事業完了までに実に333回もの整備についての議論がなされた。
 4車線あった車道を2車線に減らし、歩道を拡幅するとともに、かつてあった堀をイメージした水辺を整備した。景観にも配慮し、電線類の地中化を行い、舗装材には風情が感じられる煉瓦や自然石、照明柱には鋳鉄を用い、湊町新潟にふさわしい情緒あふれるデザインになっている。平成26年5月に完成した早川堀通りでは、市と考える会で維持管理協定を結び、積極的な維持管理を行うなど、地域住民に愛着を持ってもらえる通りに生まれ変わった。

【事業効果】

 ・道路空間の再編により、歩道が拡幅され安全かつ円滑な交通の確保が 図られた。また観光循環バスの走行ルートやまちあるきルートに新しく位置づけられており、新しい名所として認知し始められている。
・地域住民が勉強会により整備に関わったことや道路の維持管理を行うことによって、早川堀通りに愛着を持ち、積極的に地域活動に参加している。
・広くなった歩道空間を活用して、地域住民と市の共催によるオープンカフェが実施され、多くの来訪者で賑わった。

【歩行空間活用のための周知方法】

・地元組織による勉強会の開催
・地元組織主催の完成式典の開催
・地元組織発行の会報を周辺住民へ定期的に配布
・沿線を含む周辺住民へのアンケート調査

浜松駅前旭・砂山再生事業【浜松市】
【事業内容】

 都市の玄関口としての風格を備え、且つ、にぎわい溢れた「にぎわいモール・ 憩いの空間」の創出を目的として、事業者である遠州鉄道鰍フ提案により、 区域内道路を廃道し、大屋根及び多重層の回廊を設置するなど、都心部の集客性・回遊性・拠点性を高めるとともに、都市型百貨店及び業務施設等の 立地誘導を図り、中心市街地の活性化及び都市再生を推進している。

【事業効果】

 ギャラリーモールイベント開催稼働日数
 平成26年度 稼働日数 330日
 平成25年度 稼働日数 328日

【歩行空間活用のための周知方法】

 指定管理者によるHPでの周知

久屋大通再生社会実験【名古屋市】
【事業内容】

 久屋大通は、栄地区を南北に貫く本市を象徴する100m道路であり、戦後の復興土地区画整理事業によって整備された。その中央には久屋大通公園が位置しており、歴史的にも文化的にも名古屋大都市圏の近代を代表する公園である。
 本事業は、平成25年度に策定した「栄地区グランドビジョン」の「方針1 公共空間の再生」に基づいた、久屋大通の再生に向けた取り組みである。その一環として、「久屋大通沿道におけるオープンカフェの拡充」の実験を 実施した。
 オープンカフェの設置エリアの拡大や公園内イベントとの連携、Wi-Fiの設置などによる利便性向上により、沿道のにぎわい創出やエリアマネジメ ントの導入につなげる。
 これらの実験を踏まえ、将来的には、公園の一体化に向けた整備や地元主体によるエリアマネジメントの導入などを目指す。

【事業効果】

 オープンカフェ利用者 夏 約350人(12日間・4ヵ所)
 オープンカフェ利用者 秋 約200人(3日間・1ヵ所)

【歩行空間活用のための周知方法】

 関係団体、地元へのチラシ配布、公園内イベントのチラシでPR。

御堂筋の活性化(社会実験として実施)【大阪市】
【事業内容】

 大阪市のシンボルロードである御堂筋とその周辺地区は、 府市のまちづくりの方向性を示した「グランドデザイン・大阪」や府市一体の都市魅力創造戦略を示した「大阪都市魅力創造戦略」の中で、象徴的なエリアの一つとして「御堂筋側道の歩行者空間化」や「御堂筋沿道のクオリティの高いにぎわい空間の形成」等が位置付けられて いる。
 これらのことから、御堂筋の一部区間において、道路空間(側道、歩道)を活用した賑わいを創出し、そのニーズや課題等の確認を行う社会実験を実施するとともに、御堂筋の道路空間再編を進めていく上で基本となる整備方針案である「御堂筋の道路空間再編について(案)」を策定し、この案に対するパブリックコメントを実施した。
 平成27年度は側道の閉鎖による交通影響が少ない区間においてモデル整備を実施することで、喫緊の課題である歩行者と自転車が歩道内で輻輳している状況の解消を行うとともに、整備により道路空間 再編の将来イメージを現地で可視化し、歩行者・自転車通行の安全性や快適性、にぎわい形成等の検証につなげていく。

【事業効果】

 社会実験を実施した区間の歩行者交通量が実験前に比べて増加するなど、 賑わい創出への一定の効果は見受けられた。

【歩行空間活用のための周知方法】

・沿道町会、沿道ビル等へのビラ配布
・市長記者会見での発表→新聞等に掲載
・広報掲示板等へのポスター掲示 等 

市民交流広場整備事業(都市再生整備計画事業)【堺市】
【事業内容】

 本市の中心的拠点である堺東駅周辺地域において、市役所前の広場及び国施設更新等により発生する土地を一体的に活用し、イベント等多目的に使用できる市民交流広場の整備を行う。
 平成26年度から工事に着手し、平成27年5月には合同庁舎前の広場をオープンした。市役所前については平成28年度から工事に着手し、平成30年度の一体的なオープンを目標としている。
 平成27年7月には「堺市市民交流広場条例」を施行し、営利を目的とするものを含め、さまざまな活動に使用できる広場となっている。 

【事業効果】

 隣接する商店街等における取り組みなどとも連携しながら、広場を活用したイベント等を実施することにより賑わいの創出・中心市街地の活性化を図る

大道筋の賑わい創出事業【堺市】
【事業内容】

 各局の事業推進における現状と課題、今後の方向性の整理、 地域、企業等の様々な団体による各種取組みの情報収集と整理。
 区民意見を踏まえた社会実験の実施やワークショップの開催を通じて堺区が主体となり各局と連携しながら大道筋の将来像を具体化する。

【事業効果】

 区民との協働で取り組むまちづくりの推進

【歩行空間活用のための周知方法】

 区広報紙・ホームページ・ツイッター等

【神戸市】
【事業内容】

・街なかの集客を図るための道路空間を活用した取り組みとして、道路上(三宮中央通り)でオープンカフェを実施。
 現在は、市(道路管理者)と三宮中央通りまちづくり協議会(以下、まち協)が「道路管理・活用協定」を締結し、2006(平成18)年からはまち協が主催で行っている。

※「道路管理・活用協定」とは、地域団体等と道路管理者(神戸市)の間で取り決め、地域において道路の維持管理を行なうとともに、道路の活用を 通じて地域の取り組みを支援する制度であり、道路の美化清掃や駐輪対策などといった公共的・公益的な活動とともに、オープンカフェや街の飾花など道路上における特別な活動を可能とするもの。

【事業効果】

 道路上でのにぎわいの創出

【歩行空間活用のための周知方法】

 三宮中央通りでの看板の掲示

明石春旬祭【明石市】
【事業内容】

 明石春旬祭は、イカナゴのシンコ漁解禁にあわせて明石銀座通りと魚の棚商店街周辺で開催される明石に春を呼ぶイベントで平成15年から開催 されている。特産品であるイカナゴや魚のまち明石のPRとなり、あわせて春らしい文化イベントも行うことにより、市民や来街者が参加して楽しめる 明石ならではの春の祭りとなって、明石への愛着心を育み、中心市街地への来街目的の創出と魅力向上を図るものである。

【事業効果】

 来場者 : 約15,000人(2日間計)

【歩行空間活用のための周知方法】

 自治会、関係団体、周辺大型施設でのポスター掲示や、市広報・市HPへの掲載でPRを行っている。

西川パフォーマー事業【岡山市】
【事業内容】

 市民が西川緑道公園を活用し、自主的かつ主体的に企画・実施するイベント等を市が公募・選定・認定(認定事業者)し、市民主体の事業が計画的かつ円滑に実施されることで公園の活用を促し、魅力を高め、まちなかに質の良い 継続的な賑わいを創出する。

○西川パフォーマー活用事業(花・緑ハーモニーフェスタin西川)
 市が企画し、開催に関しては認定事業者等へ出演を依頼し、連携しながら、季節ごとに実施。

○西川パフォーマー認定事業
 認定事業者自ら企画・実施する事業で、市は共同主催者となり、実施に必要な支援を行う。(公園使用許可申請、備品の貸し出し、電源使用許可など)

【事業効果】

 来場者数及び認定事業者による定期開催事業の増加
 来場者数 H22:32,100人 → H26:42,000人
 定期開催事業 H22:1事業 → H27:6事業 区広報紙・ホームページ・ツイッター等

【歩行空間活用のための周知方法】

 市の広報誌、HPへの掲載。市主催事業については、市がチラシを作成し、 周辺自治会、公共施設等の窓口へ配布

都心の歩行環境改善の推進【広島市】
【事業内容】

 都心の「核」のひとつである紙屋町・八丁堀地区において、魅力の向上や歩行者優先の市街地形成など、にぎわいと回遊性を有するまちづくりに向けて、道路空間の使い方を見直すことにより、「都心の歩行環境改善」 に取り組んでいる。
 地区内には道路幅員が狭く、両側に歩道が整備されていない通りも多く、こうしたところでは、歩行者と自動車の輻そうが生じている。
 このため、平成26年度に、一方通行となっている車道の一部を歩行者空間とし、荷捌きスペースを限定するなど、都心部における歩車共存道路の整備に向けた社会実験を実施した。 実験の結果、車道を一部狭めることで、自動車の速度抑制に効果があることが確認でき、また、実験に合わせて実施したアンケート調査では、道路利用者、地域関係者の約7割の賛成が得られた。 今後は、地元住民や沿道店舗等と勉強会を開催し、検討を深めた上で 整備計画案を策定する予定である。

【歩行空間活用のための周知方法】

 勉強会及び検討会の周知は、当該地区のまちづくり協議会を通して、案内していただいている。

小倉都心部集客アクションプラン推進事業(休憩スポット整備)【北九州市】
【事業内容】

 JR小倉駅北側の新幹線口エリアで生み出したにぎわいを小倉都心全体のにぎわいにつなげることがコンセプトの「小倉都心集客アクションプラン」を推進するため、平成26年度末に「建設局集客アクションプラン」を策定した。
 その「建設局集客アクションプラン」の施策の一つとして、市民や来街者が日陰で座って休息できるように、歩道幅員に余裕がある道路において、木陰ができる街路樹側やバス停側、信号待ちの場所などに「休憩スポットの 整備(ベンチ設置)」を行うこととしている。
 現在、ベンチなど休憩施設設置のための基準を策定中である。

【事業効果】

「小倉都心集客アクションプラン」は、小倉都心部への集客を目的として、 策定され、今後小倉都心部への来街者の増加が見込まれる。  市民や来街者に対して、休憩スポットを整備することで、公共空間の魅力 アップを行い、行動範囲を広げ、滞在時間を延ばす効果が期待できる。 また、高齢者や障害者等の休憩需要に応えることも可能となる。

【歩行空間活用のための周知方法】

 HP、市政だより等への掲載(予定)

博多駅再整備事業【福岡市】
【事業内容】

 JR博多駅は、約36.5万人/日が利用する九州最大のターミナル駅であり、本市都心部の核を形成する地区であるが、従前の博多口駅前広場は、 自動車交通の処理を中心に整備され、大部分を車両空間が占めており、 歩行者空間の不足や自動車と歩行者の交錯などの課題を有し、陸の玄関口としても魅力に欠けたものであった。
 このため、H23年3月の九州新幹線の全線開業を契機に、交通結節点としての機能強化を図るとともに、賑わい・交流の拠点として博多駅の 再整備を行ったものである。
 今回の再整備では、駅前広場を地下に拡充し、立体的に活用することで、 不足している歩行者空間を確保し、九州・アジアの陸の玄関口に相応しい 魅力ある拠点づくりを行っている。あわせて、地下の歩行者用通路や2階の歩行者連絡橋の整備により、歩行者の回遊性の向上を図った。

【事業効果】

 本事業により、十分な歩行者空間が確保され、自動車と歩行者の交錯の解消や、分かりやすい乗り換え動線など、公共交通の利便性が向上した。 また、新たに整備された広場空間でのイベントの実施等により、駅周辺 まちづくりと連携した賑わいを創出しており、都心全体の活力向上へ寄与 している。さらに、陸の玄関口として相応しい魅力的な都市空間を形成しており、本市のランドマークとなっている。

【歩行空間活用のための周知方法】

 駅前広場の活用に関する予約受付を行っているJR博多シティのHPによる周知

桜町・花畑周辺地区の一体的なまちづくり「熊本城と庭つづき『まちの大広間』」【熊本市】
【事業内容】

 本市のシンボルである熊本城に隣接し、中心市街地に位置する桜町・ 花畑地区では、民間再開発事業(約3.7ha)として、商業機能の更新や西日本最大級のバスターミナルの再整備がなされ、又、その中で本市はMICE施設(約3,000人収容)を新設する予定。
 さらにNHK放送会館の新設等、同時期に複数のプロジェクトが進行する。 併せて、本市は、道路や公共施設跡地など(約9,100u)を、憩い空間、 並びにイベント空間として広場とする計画。
 地区のコンセプトを「熊本城と庭つづき『まちの大広間』」とし、デザインと利活用の両面から官民協働で一体的なまちづくりを推進する。

【事業効果】

 一体的なまちづくりを進めることにより、本地区の魅力を高め、 中心市街地全体のにぎわい創出や回遊性向上を図る。

【歩行空間活用のための周知方法】

 ・オープンハウス、シンポジウム、講演会等の開催
 ・広場の使い方アイデア募集とワークショップ開催によるイベント企画

橘通東三丁目地区第一種市街地再開発事業【宮崎市】
【事業内容】

 宮崎市の中心部に位置する本地区周辺は、中心市街地の活性化を図るために、商業機能や都市機能の一層の充実・高質化が求められて います。また、中心市街地の円滑な交通流動を図るため、大型で利便性の高い駐車場の整備が望まれていた区域でもあります。
 このような状況の中で、駐車場を核とする複合施設の整備を行うことにより、市民が来街しやすい環境を整え、中心市街地の活性化を支える交通機能の強化を図ることを目的とし、平成20年6月1日に再開発ビル 「Y・Y PARK(ワイワイパーク)」がオープンしました。

【事業効果】

 中心市街地における駐車場を核とする複合施設の整備を行うことで、 市民が来街しやすい環境を整え、賑わいの創出を図る。

橘通西三丁目地区第一種市街地再開発事業【宮崎市】
【事業内容】

 本地区は、宮崎市の中心市街地の商業集積地に位置し、交通の利便性の 高い地区ですが、中心市街地の活性化をより一層推進することが望まれて いる地区であります。  本事業では、魅力ある中心市街地の再生に向け、まちの新たな魅力となる 公益施設(文化・芸術拠点として「みやざきアートセンター」を設置)や市民の 憩いの場となる広場「太陽の広場」と商業・業務機能が融合した魅力ある 複合施設の整備を図ることにより、市民の交流の場を提供し、中心市街地の 活性化を推進することを目的とし、平成21年10月1日に再開発ビル「アート センター」がオープンしました。

【事業効果】

本市における文化芸術の振興とともに、まちなかでのコミュニティの再生を目指す。

整理結果 まとめ

特定課題「民間活力も含めた歩行空間の整備事例について」

 「民間活力も含めた歩行空間整備事例について」の実施状況としましては、23都市中9都市(9事例)から実施報告がございました。
 こちらの事例では、事業に関連する組織や協議会との積極的な意見交換を実施することで官民連携を図り、協定等を締結することで財政負担の軽減を図った事例が多く報告されました。
 事例の中には、地元商店街や地元協議会との連携により、歩行空間の新設のみならず維持管理分野においても地域住民との協働を行っている事例が報告され、様々な形で、民間活力を導入しながら安全で快適な歩行空間を創出した事例を収集することが出来ました。

特定課題「オープン空間の確保や賑わい創出事例について」

 「オープン空間の確保や賑わい創出事例について」では、23都市中19都市(22事例)から実施報告がございました。  こちらの事例では、既存の歩行空間を活用したオープンカフェ等の社会実験や、イベントの開催による賑わい創出事例が多く報告されました。また、再開発事業と一体的にオープン空間を確保した事例も多く報告され、官民連携による空間の利活用方法に関する検討が全国各地で進められていることが確認できました。

 これらの収集事例における事業の周知方法といたしましては、各都市のホームページ及び広報誌、ポスター掲示を利用したものが多く報告されたほか、SNS等のメディアを活用した事例も報告されました。

 人口減少や高齢化が進展する社会においては、市民の安全で快適な生活と効率的な都市経営を両立させた、集約型都市構造への転換が求められております。
 本部会におきましては、街路事業という側面からの取り組み事例について議論を行ってきたところであり、各都市からは民間の知恵や資金を活用した事例や、地域住民との連携により都市の賑わいを創出した事例が多く報告されております。
 今回の調査結果を踏まえ、市民の事業への理解は不可欠であることを再確認したとともに、官民で協働することによって、より多くの利活用方法が生み出され、多岐にわたる事業効果の発現や、地域の賑わい創出につながると考えられます。
 今後も各都市間における情報共有を行いながら、都市機能集約施策・都市交通施策との更なる連携を図り、歩いて暮らせる集約型のまちづくりに向けた取り組みを重ねてまいります。